1.「優良誤認」「有利誤認」「総理大臣指定事項」

虚偽誇大な広告を規制する条文は、特商法、薬機法、食品衛生法など多くの法律にありますが、実務の場では、取り締まり件数も多くガイドラインなどの整備も進んでいる景表法の考え方に従って広告表現の適法性を判断することになります。

景表法では、虚偽誇大表示を①優良誤認②有利誤認③総理大臣指定(告示により個別に指定された)事項(*)の三つの類型に区分しています。

(*)・商品の原産国 ・無果汁の清涼飲料水等 ・消費者信用の融資費用 ・おとり広告 ・不動産のおとり広告 ・有料老人ホーム

②有利誤認に関するチェックは、割引価格の表示が適正か否かを確認する他、”○○限定”等の表示が事実を反映していることを確認します。

③総理大臣指定事項は、該当する商品・サービスの区分ごとに告示に定められた内容に沿ってチェックします。総理大臣指定事項は、優良義認に当たるか否かを問わず、不当表示と判断される場合があります。(例えば、フランス産の香水をアメリカ産と間違って表示した場合のように、優良誤認表示には該当しなくても指定事項違反となります)

2.優良誤認表示対策の基本は、品質関連資料に照らした広告表示の確認

①優良誤認表示とは、著しく事実と異なる商品の品質・性能を表示して、消費者の合理的な商品選択を妨げる表示と規定されています。優良誤認表示は、和牛と広告したが実際は輸入牛であったり絹製と広告したが実際はレーヨン製であったりした場合のように、”事実と異なる”という点で争いがないケースと、商品の効果や性能に関する根拠資料が無い、若しくは、不適切な根拠資料を基に広告表現を決定したために、広告した効果・性能が著しく事実と異なってしまうケース(不実証広告)の二つに区分できます。

優良誤認表示を避けるためには、仕入れ商品を決定する際に取引先等から入手する品質関連の資料と広告表示を突き合わせながら、広告表示をチェックすることが基本です。特に、強調表示する事項についてはその内容を裏付ける資料の提出を取引先に前もって要求しておく必要があります。

取引先から入手した資料の内容をどこまで確認すれば良いか?ということについて、内閣府告示では、販売業者に求められる確認は、販売する商品の品質・性能が広告で表示した内容と異なっていないことを仕入れ先から入手した資料や送り状などで確認されれば事足りるとしており、仕入れ先から入手した資料等の真偽を自ら試験により確認したり、製造工程にまでさかのぼって確認することまでは求められていません。少なくとも、商品の素材など仕様に属する項目については、広告した通りの品質・性能の商品が出荷されていることを確認すれば、景表法上の販売業者の確認義務は果たしたといえます。(詳しくはコラム を参照ください)

3.不実証広告対策には、根拠資料の合理性確認も必要

広告で訴求する性能の根拠として試験データなどが提出される場合も少なくありませんが、この根拠資料の科学的合理性を確認することは、不実証広告リスクの対策だけでなく、お客様に信頼してもらえる商品を届けるという視点からも必要な措置です。

根拠資料の科学的な意味を吟味した上で、十分な商品性を有していない商品を排除することや根拠資料で裏付けられた範囲で媒体表現に落とし込むといった作業が必要になります。しかし、多くの通販事業者にとって、根拠資料の科学的な意味を判断するための人的資源を社内で確保することは難しいというのが現状でしょう。試験データなどの根拠資料は、外部機関も利用しながら合理性確認を行うことも選択肢の一つです。

(広告リスク研究所は、食品、化粧品から日用雑貨まで幅広い商品群の広告根拠資料について科学的合理性の評価を行っています。お問い合わせはこちら