通信販売の場合、販売条件等についての情報は広告を通じてのみ提供されます。したがって、原則として、その広告から商品購入の判断をするための情報が読み取ることができなければなりません。
特商法第11条では、通販広告における取引に係る情報として通常表示される”代金・送料その他の支払い金額(注1)”に加えて、以下の表示事項の表示を求めています。これらの情報が、適切に表示されていることの確認は、通販広告チェックの基本中の基本とも言えます。
広告スペースが小さいなどの理由で、購入希望者に別途カタログを送付する等の場合は、”代金・送料その他の支払い金額”を広告に表示せず、カタログに下記の必要な事項が記載されていれば、*印の事項は表示を省略できます。(”代金・送料その他の支払い金額”を表示した場合は省略不可)
- 代金等の支払時期*(前払いの場合)
- 商品の引渡時期等*(引き渡し時期が1週間を超える場合)
- 返品に関する事項(返品の可否・返品の期間等条件、返品の送料負担の有無)(注2)
- 申込みの有効期限
- 商品の隠れた瑕疵に関する販売業者の責任*(注2)
- ソフトウェアを使用するための動作環境
- 商品の売買契約を二回以上継続して締結する場合のその旨及び販売条件(注3)
- 販売数量の制限等特別の販売条件
- 請求により有料で送付する書面(カタログや見積書等)があるときは、その価格
- 電子メールで広告するときは、電子メールアドレス
法第11条では、スペース等の制約がある場合は省略可としつつ、上記の他に”代金の支払い方法”や”販売業者等の氏名又は名称、住所及び電話番号”の記載を求めています。
これらの事項は、広告する商品ごとの条件に対応する形で表示しなければなりませんが、複数の商品を扱う媒体では、特定の場所に条件ごとに集約して表示するといった表示方法も可能です。
(注1)代金について:代金の表示は税込み表示とし、送料も具体的な金額が示されていなければなりません。(地域別代表値や最大最小表示も可)
(割引価格表示についてはこちら)
(注2)返品について:返品に関する事項は、瑕疵のない商品について、お客様都合の返品に応じるか否かの規定です。返品の可否、返品に応じる期限や送料の負担についての記述が必要です。この記載がない場合は、商品等の引渡し等を受けた日から起算して8日以内であれば、送料消費者負担で返品に応じなければなりません。(返品に関する記載については、「返品特約ガイドライン」に詳しくまとめられています)
※明らかに着用したパーティードレスを返品するといった、悪質な消費者に対抗するためにも、明確な返品特約の記載が望まれます。
商品に瑕疵がある場合の対応について表示することは必須とされていませんが、販売業者は債務不履行の状態を解消する(瑕疵のない商品に取り換える)責任を負います。特に、「訳あり商品」など瑕疵があることを前提としたセールなどの場合は、商品に瑕疵がある場合の返品についても表示しておくことが必要です。この場合、消費者が瑕疵の有無どちらにについて書かれたものか理解できるように表示されていなければなりません。
(注3)定期購入について:定期購入契約についての規定です。消費者庁のガイドラインでは、初回の取引に係る契約内容に加えて、定期購入契約である旨の他、金額、契約期間、商品の引渡時期や代金の支払時期の表示を求めています。ここでいう金額は、初回の代金ではなく、契約期間における総額です。解約の申入れがない限り契約が継続される場合は、半年なり一年なりの適当な期間における総額で表示します。
総額の表示は、初回の割引率をより大きくした場合も含めて、すべての定期購入に適用されます。なお、初回で解約可能であったとしても、解約の申し出がなければ契約が継続する場合は定期購入とみなされます。
※初回の割引率を大きくした定期購入の総額表示の事例として、消費者庁のガイドラインでは以下のような表示内容が示されています。
・ △△定期購入コースは5か月間の定期購入契約となり、総額16,800円になります。 ・ 初(月)回のみ、お支払額は1,600円(送料・税込)になります。 ・ 第2回から第5回までは1月あたり3,800円(送料・税込)となります。 ・ 初月を含めた5か月間の支払額の合計は16,800円(送料・税込)になります。